【本当にあった珍客の話】 タクシードライバーのリアルエピソード「カタカナ」 珍走日記 11号車

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少し肌寒くなり始めた10月の終わり

近年では地球温暖化の影響により

夏がどんどん長くなり

噂では春と秋が無くなって

夏と冬だけのループになるらしい

さてその日の予約は昼の12時

とある小さなマンションへお迎え

時間少しまえにマンション前にて

お客様をお待ちしていると

ハンチング帽子を深く被り

大きなマスクをしたご婦人さんが出てきた

「ご予約の知蘭様ですか」

「そーですそーです ご苦労さん」

関西弁丸出しの大きな声だ・・

見た感じ大分ご高齢にうかがえる

行先は5キロ離れたとある私鉄の駅

ー 賃走 ー

知蘭様

おとうちゃんが朝急に鮭茶漬け作れって

言うもんやからバタバタしたは

起きた時に聞いたらパンでええて言うてたのに

急にやで急に

ホンマかなわんわ!

そりゃ大変でしたね

でもよく鮭ありましたよね

知蘭様

ほんまやで奇跡奇跡

でも歳は取たくないは

茶漬け作るだけでもしんどいし

若い時はもっと

シャキシャキ動けとったんやけどなー

よー周りからは

「元気美人さん」なんて

言われたもんや

お兄さんはまだ若いからええなー

30歳ぐらいやろ?

いやいやそんな若くないですよ

もう50歳近いですしねー

知蘭様

え~見えへんわー

30歳ぐらいに見えるわ

ええなー若く見えてホンマええわー

あなた見えていないでしょ
私マスクしてますし後ろ向きだし・・

知蘭様

私も歳の割には若見えるって言われるねん

あっそ

へ~そうなんですか
   (なんか嫌な予感が・・)

知蘭様

そーやねん

歳の割にはやで

でっ!お兄さん

私何歳に見える

えっ!

あ~

そ~ですねー

でもまだまだ若いんじゃないですか
(よく分らん返事)

知蘭様

そーやねんまだ気は若いつもりやけど

外見はやっぱり歳とるわな嫌やけど

でもまぁ同年代から見たら

若見えるんやないかな

知らんけど

で!

何歳に見える?

あなた深く帽子を被って大きなマスクをして
どうしてその質問をするか?

あ~そうですね

母よりかは全然お若く見えますね~

あの~まったく顔が見えないんですけど
こういう場合何が正解なのだ?
どれくらいに見られたいのか
60歳ぐらいか?
いやいや60も80も一緒だろ
では40歳ぐらいか?
いや~無理がある

知蘭様

そ~やねん以外と若く見られんねん

でももう お婆ちゃんやけどな

うちの次男も歳の割に童顔で

仕事先でお客に歳言ったら

驚かれるらしいわ

私に似たんかな~

で!お兄さん

何歳に見える?

知らん!

え~

お若く見えるのは間違いないですね

でもちょっとわかりませんね~

知蘭様

そ~やなこんな後ろの席じゃわからんよな

私今年で76歳になるんやけど

近所のスーパーの店長さんに

「いや~知蘭さん」

「50歳ぐらいにみえますわー」

って言われんねん

ほんまかなわんは

すみませんが

どーでもいい!

そして

年相応だと思います

そーですよね見えます見えます

見えますよね~

私もそう思ってました~

とても難解で正解のない問題に遭遇した

そんなあるお昼の出来事

女性というのは幾つになっても女であり

時にややこしい生き物である




その時私はとても険しい顔で

タクシーを走らせていました

険しい顔の理由は

とてつもなくトイレに行きたいからだ

しかも大きい方

じわりと変な汗をかき始め

大型のショッピングセンターの前を通った時

女性三人組が道端で手を挙げている

三人とも買い物袋を下げ

大阪のおばちゃん代表の様ないで立ち

車を道路端に寄せ扉を開ける

「いや~助かったわホンマ」

「蛇内駅までたのんますゎ」

「蛇内駅ですね かしこまりました」

車内に立ち込めるキツめの香水と

高齢者独特の香りの中

目的地に向け出発

ー 賃走 ー

後部座席に並んだ三人のご婦人

毎回だが

とにかくおばさんというのは

うるさい!

それにしてもいつも感心するのが

女性というのは何故こんなにも

話が尽きないのだろう

そんな事を考えていると

信号待ちでたまたま横にあった

「チョコザップ」

偶然目に入った「チョコザップ」でも

話が盛り上がるのだ

「これ最近増えてるわな~」

「うちの長女の旦那も通ってるらしいわ」

「そーなんや! 安いんか?」

「知らんけど安いんちゃうか」

「そやそやほんで通い放題やろ」

「このチョコザ!」

「でもなんか怪しいでチョコザ!」

ップ が足らん!

何故「ザ」で止める!

「それはそうと」

「あんたの息子 闇バイト大丈夫?」

「うちは大丈夫やわ」

「でも今よーニュースでやってるな」

「ホンマ怖い世の中やな嫌や嫌や」

「あれって携帯で」

「なんかゴニョゴニョしてるらしいで」

「そうそうあれやろ!あれ」

エヌ エス エス や!

おしいっ!

「そやそや」

「エス エヌ エヌ やろ!」

もうちょい!

「ウチらみたいな高齢者には」

「てんで解らんわな」

「エフ エヌ エス なんて」

これもおしい!

私は心の中で教えてあげる

S N S
エス エヌ エス

ですよ~

踏切にて電車の通過待ち

ふと横を見ると

ケンタッキー フライド チキンがある

「この鶏 揚げた店っておいしいの?」

「なんや鶏て チキンやチキン」

「ウチにはちょっと油っこいわ」

「そやなたしかに」

「でもこの店って全国にあるやろ」

「せやせや あ~なんて言うんやったかな」

「チェーン店みたいなやつやろ」

「あれやっ あれっ!」

「フランチャイルド」や

「そやそやフランチャイルド」

待て待て待て待て・・

ちょっとオモロ

何故「フランチャイズ」

「フランチャイルド」なる?

それに何だ

フランチャイルドって

腐乱した子供

フランケン
シュタインの子供

フランスの子供

ゆっくりと遮断機が上がり

KFCを横目に走り出す

あまりに私のツボに入ったのか

いつの間にか私の便意は消えていた

そしておば様三人衆はというと

正解率5%程の「カタカナ」にて

永遠にしゃべり続けるのであった

そんなある日の出来事

お付き合い有難うございました

~ししまいmk~

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ししまいmk

      関西在住
   大人男子ホテル勤務25年
    →Taxiドライバー★
   妻と娘4人の6人家族
   ホテルという業種を離れ
     家族の大切さ
    そして愛おしさを
      あらためて
    感じる日々である
     ではごゆるりと

一応 やってるよ
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